荒木隆久の撮影日記3
 

森村泰昌展のオープニングを撮影する荒木
<海外出る前は忙しいの巻>

9/24、お台場のフジテレビV5スタジオにて10月放送分の「テレビ美術館」の収録を師匠夫妻と共に見学。
9/25、記憶ナシ。久しぶりにゆっくりと本でも読んで過ごしたらしい。
9/26。ここからが...。朝、車にて姫路へ向けて出発。出がけにやっと翌週29日からのイスタンブールのチケットが取れ一安心と思いきや、なんと浜松で聞いた留守電には、その後に森万里子サンの上海での撮影に行くためにビザの申請をしていたパスポートがその日までに帰って来ないと。ガーンっ。ヤバイっ。29日に出発し飛行機を乗り継いで、その日遅くにイスタンブール入りし、すぐ翌日からビデオを撮影し10月4日のビエンナーレのオープニングまでに編集して流す予定がっ。ひたすら東名から名神、中国道へと先を急ぎつつもフライトのことや、何よりも明日の撮影、特に天気が気にかかる。しかし京都から大阪への25km渋滞にハマったあたりで18:30をむかえ、旅行会社のコンピューターも閉じ、お手上げ状態に。っと思ったら渋滞もいつの間にかぬけ、その先目差すインターまではけっこう順調で、8時頃閉店しよーとしてた、インター出たすぐの焼肉屋をこじあけ、食事を済ませて一安心。腹が減っては(撮影は明日だけどっ!?)戦は出来ぬっ。

 今回訪れる場所は、兵庫県がつくった播磨科学公園都市。きっと山ん中でコンビニなんてないぞーという皆の一致した見解で隣のコンビニで夜食を買い込み、やはり予想通り真っ暗闇ん中をつき進み、本トにあるのかぁーとかボヤきつつ、無事10時には宿泊施設入り。そうそう今宵は金曜の夜。「料理の鉄人」だぁーっ。というのも、よく行く中華料理屋のオネーチャンが今回の挑戦者。結果は惜しくも鉄人陳サンの勝ちィ〜、残念んっ。 でもパチパチパチ。さぁ寝ょっと
 朝メシだぁ。というところで予約するの忘れてて、近くの大学の学食で朝食という羽目に。なんとリハでは小雨がパラパラと。サて、どうなるどうなる..。
 ちなみに昼食もその学食でして、スタッフの皆サンスミマせんっ。 あーっ、話題をそらさなきゃ。そうそう、大学の学食と言えば思い出すのが、注ぎ口の上にパッチリ2つ描かれたつぶらな瞳の、テーブルの上に置いてあったしょうゆ、ソースの入れ物のつがいですよねェー。ところで、ヘリ?・ドノ?、ヘリ?・ドノ?、今だにどちらか読みは定かでないのですが、インドネシアから来たアーティストが仕立てた様々な音が出る自転車に地元のボランティアの学生とか総勢30人位がそれぞれ乗って、トラックをぐるぐる回るというパフォーマンスの撮影で何とか無事終了。

 早々に片付けを済ませ京都駅までドライブっ。自分の機材を背負い、残りの機材と車は師匠に押しつけ新幹線で東京へ。23時頃東京駅に到着したのはいいけれど、いつもよりは軽い、それでも30Kgの荷物と共に中央線〜京王線と乗り継ぎ、最後に普通で15分の道のりを2回休憩で何とか家へ。うだうだしてたら3時か4時、あっ寝坊。
 起きたら9時、今日は水戸芸で磯崎サンが何かやるのを撮りに行かなきゃ。9時15分過ぎくらいに出発、1時間半ピッタリで地下の駐車場入り。ウン、優秀優秀。久しぶりに休館日でないフツーの休日。会場ウロウロ撮影してるとなつかしい人と会えたりして、ここ水戸は都心からちょっとフラっとでは来れないので、みんな気合い入れて来てリラックスしてて、でもアッチで立ち話、こっちで立ち話でさすがに効率は良くないけど。
 さてさて本番、磯崎サンの話をビッチり収録っ。これでこの展示も無事終了。60年代のいろんな伝説の人々にインタビューに回らせてもらったり、割と準備から(いつもの、インスタレーションの現場で体力勝負っ!みたいなかんじではなく)展覧会の出来るまでを見たよーな。心地よい疲労感と共に軽めの気分で高速に乗ったら、今日も出ました25km渋滞。都内に突っ込んだ勢いで、プロダクションにたおれ込み、夜中じゅう半分寝ながら編集作業(まさかこの時、納品がオー幅に遅れ、各方面に大迷感をおかけしよーとは。みなさんスミマせんでしたぁー。;後日談)。あけて翌日は安斎サンと打合せ。光栄なことにいっしょにお話会をすることに。でも、その前日まで撮影でいないし、スチールとビデオをどーやっていっしょに見せよーかとかあまりまとまらないまま..。又々その日は夜中じゅう半分寝ながら作業ずくっ。

 いよいよ待ちに待った9/30、出発の日。エアーフランスの遅い便という初めてのパターン、なんだかゆったり発送したり、昼過ぎからようやく荷づくりしたり、しめはキレイな夕日を背中に浴びながらの東関道をスーイスイッ。よゆぅーっ。 ガラーンとした第一ターミナルから最後に出る便に。でも現地に着いたらやっぱりスグ撮影だって。エーっ。やはり離陸は知らず、最初の飲み物は飲みそこね、それでも食事ではチャンと起き、次は着陸で目を覚まし、シャルル・ドゴールでイスタンブール行きの飛行機を待つ間もウトウトと。

...つづく。

(1998.6 あらき たかひさ/アート・ドキュメンター)

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